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音楽劇・朗読劇を行っているシティームジカアクト事務局スタッフのブログです

読書の扉~永井荷風の作品

【本の紹介】

短編文学作品は、読書の時間の扉を開いてくれます。

今日はその中でも、永井荷風作品を紹介します。

永井荷風文学には、言葉の抑揚の美しさを感じます。各地で開催されている朗読会でも、人気の高さを伺うことが出来ます。

 

永井荷風は、幼少期から江戸文学を読み、その後にフランス文学へと傾倒して行きました。荷風は独特な恋愛観を持ち、数々の作品に、それが表れています。

 

荷風の作品に、いやらしさや欲情的なものを感じさせないのは、言葉の一つ一つが持つ、ゆったりとした抑揚の「美」の表現で綴ってあるからかも知れません。

 

娼婦との恋を描いた荷風文学の最高峰小説「濹東綺譚」(ぼくとうきたん)は、荷風が通い続けていた私娼窟が作品の元になった作品です。

初老の男と、若い娼婦の女性との刹那的なこの恋愛作品では、流麗な荷風の表現が、すべてそこに集約されています。

 

1960年に映画化され、日本の名優の多くが出演しました。監督は文芸映画の巨匠、豊田四郎。音楽はクラシック音楽界、オペラの作曲家、エッセイストとしても著名な、日本の音楽界を支え続けた、團 伊球磨が担当しています。観ごたえ、聴きごたえのある映画です。

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荷風はフランスを深く愛し、フランス文学に強く影響を受けていました。

荷風は1907年にフランスに短期滞在しました。

「フランス物語」は、荷風が滞在した時の、今から100年以上前のフランスの街並みや音楽などが、独特な空気色として表現されています。荷風の目で見たフランスの文化と、きれいな景色感で綴られています。

しかし発刊から2年で発禁処分を受けた作品です。日本を屈辱するような表現が問題になりました。

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 posted by アージ